PMIのCOOより: 進むべき新たな道
現在の社会に対する大きな影響力を持つ世界的要因を分析す るにあたり、長引くCOVID-19パンデミックの影響を無視するこ とはできません。2019年12月の発生以来、2年以上が経過し た現在でも、パンデミックは私たちの生活の数多くの側面を激 変させ、世界の仕組みに関する社会通念を覆しています。とは いえ、私たちが公私にわたってこの課題に立ち向かい続ける一 方で、世界はより敏捷であること、そして進むべき新たな道を再 検討することの価値を学びつつあります。私たちは、コミュニテ ィが境界を越えて団結し、最も緊急性の高い課題に対処するこ との必要性を新たに認識しました。
しかし、社会や業界が新たな解決策を見つけ出しても、それ は、克服すべき複雑性が存在しないことを意味するわけではあ りません。それどころか、複雑性はかつてないほど蔓延していま す。前進できるかどうかはチェンジメーカー、つまり危機の最中 に機会と解決策を見出す人々にかかっています。
もちろん、プロジェクト専門家は天性のチェンジメーカーです。 組織は長年にわたり、アイデアを現実のものにするためのサポ ートを、プロジェクト・スキルを備えたプロジェクト・マネジャー や専門家に頼ってきました。このコミュニティの真の差別化要因 は、実現に対する注力、つまり独創的なゴールから具体的な何 かを生み出す方法を見つけ出していることです。世界は今年の グローバル・メガトレンド・レポートで概要が説明されている課 題のいくつかに取り組むことになり、今後はこのスキル・セット がかつてないほど不可欠なものになるでしょう。
今日のチェンジメーカーは、世界の課題に関与することなく、単 独で活動することはできません。できる限り効果的なリーダー になるには、世界がどこへ向かっているのか、組織にとってそれ は何を意味するのか、私たちはどの場面で貢献できるのかを深 く理解することが不可欠です。この幅広いグローバルなコンテ キストのニーズを満たすために、PMIは年に一度メガトレンド・ レポートを作成しており、世界から集めた長期トレンド、調査デ ータ、業界データを評価し、現在の変革を率いるプロジェクト専 門家から得た生の情報を提供しています。
PMIは、2022年にはデジタル・ディスラプションから平等運動 まで、地球上のあらゆる場所に変化をもたらす6つのトレンドが 生まれると考えており、それらのすべてがビジネスと社会の両 方に引き続き影響を及ぼす可能性があります。
しかし、私たちの世界に影響を及ぼすトレンドについて理解す ることは、それらを克服、または受け入れるための第一歩に過 ぎません。大きなアイデアを受け入れ、それを実施するという過 酷なタスクに取り組むとき、コミュニティは大きな影響をもたら します。それゆえ、気候危機や経済的不平等の拡大といった重 大な課題の影響を理解するだけでは不十分であり、再検討を 行って解決策を進められるよう支援することもコミュニティの 責任です。
今年のレポートが世界中のチェンジメーカーや組織にとっての 学びや刺激となり、彼らの影響力を促進すること、そして彼らが 進むべき新たな道の開拓をサポートできることを願っています。
Mike DePrisco
PMI、最高執行責任者
はじめに グローバル・メガトレンド2022
2021年、私たちは、ニュー・ノーマルなど無いかもしれず、加速 度的な変化が果てしなく続くだけであることを学びまし た。PMIは、世界を再構築する技術のダイナミックス、人口動態 の変化、グローバル化の複雑性を積極的に観察し、世界中のプ ロジェクトに対する影響や関わり合いに基づいて次の6つのメ ガトレンドに注目しました。
1.デジタル・ディスラプション
2.気候危機
3.人口動態の変化
4.経済の変化
5.労働力不足
6.市民運動と平等運動
COVID-19と将来のパンデミックの脅威により、不平等なワクチ ン配布やサプライ・チェーンの混乱など、以前からの欠陥や不平 等が顕在化し、それらの課題に対処するために、さらに多くのこ とが求められるようになるでしょう。バーチャルとフィジカル、個 人と公共など、私たちが参加するさまざまな世界との相互作用 のバランスをとろうと努める一方で、新たな、より優れた現実を 生み出すためにイノベーションを起こさなければなりません。
私たちは、あらゆるものを網羅するデジタル時代のベネフィット を受け入れ、そのリスクを認識しながら、今後もイノベーション の真の推進力として、人が中心的存在であり続けることも理解 しています。人口動態の脅威と経済の脅威がぶつかるときに は、テクノロジーは労働者不足の緩和や持続性イニシアチブの 活性化をサポートできますが、人々や個人の行動や協働に取っ て代わることはできません。仕事において、最高のパフォーマン スを発揮し続け、成長するためには、人は価値を認められ、育て られ、理解されて、公平に扱われることを望んでいます。
これらの課題に対処するために、プロジェクト専門家には技術 スキル以上のものが必要となります。組織のゴールに合わせて プロジェクトを推進し、その成果が世界の出来事における日々 の経過へどのように影響を及ぼし、またそれらからどのような 影響を受けるかを理解するには、戦略的な考え方を取り入れな ければなりません。また、プロジェクト専門家は、コミュニケー ション、共感力、革新的な考え方の促進など、リーダーシップと パワースキルを強化して、他の人も同様の行動をとれるように 支援する必要があります。
昨年のメガトレンド・レポートを発行して以来、PMIは業界リー ダーから最新情報を求め、2022年の変化を続ける世界の流 れに乗るために役立つ、量的・質的な一次および二次調査を実 施しました。さらに、世界中の専門家とソート・リーダーから、私 たちの指針となり刺激を与えてくれる意見を伺いました。このよ うなプロジェクト専門家やチェンジメーカーたちは、現実の好 ましい変化を支えるのに必要な資質を体現しており、世界最大 の課題の解決をサポートしてくれます。
デジタル・ディ スラプション
絶え間ないテクノロジーの変化と無縁の業務分野は、ほぼありません。 最新の協働ツールやス マート家電にもまだ慣れていないというのに、新機能を備えた、より新しいテクノロジーが登場 します。これらのソリューシ ョンを使用することで、時間を節約し、生産性を向上させ、イノベーシ ョンをサポートすることができますが、データ漏洩やプライバシーの喪失といったリスクを負う可 能性もあります。
デジタル・トランスフォーメーションはCOVID-19パンデミックが 発生する前から進行しており、多くの組織がコア・ビジネス・モ デルを再定義して、絶え間なく変化を続けるプロダクトやアイデ アの市場において競争優位性を獲得しました。カスタマー・エ クスペリエンスを向上させ、従業員の効率を高め、プロジェクト の成果を上げるために、クラウド・コンピューティング、モノのイ ンターネット(IoT)、人工知能(AI)などのテクノロジーが導入 されました。今や、デジタル・トランスフォーメーションが日常業 務になっていると言っても矛盾を感じません。
PMIのPulse of the Profession®詳細レポート、『Next Practices: Maximizing the Benefits of Disruptive Technologies on Projects』(次のプラクティス:プロジェクト において破壊的テクロノジーのベネフィットを最大化する)に よると、成熟したデジタル・トランスフォーメーション戦略を有す る優れた母体組織として定義づけられているイノベーターの大 多数は、破壊的テクノロジーの採用が、ビジネス目標を満たす (または上回る)大幅な改善を支えると指摘しています。
パンデミックは、デジタル技術、特にオンラインでの協働とリモ ート・ワークを可能にするツールの発展を大幅に加速させまし た。リモート・ワークを利用する傾向が急速に高まっています が、これはデジタル化と接続性の向上により促されたものでし た。正常な業務を継続するために在宅勤務を行う機能が必要 になると、リモート・モデルの採用に関する障壁や躊躇は一掃 されました。この変化は近い将来に定着するでしょう。
企業は新しいデジタル製品の市場投入も急ぎました。McKinsey によると、デジタル化されたプロダクトやサービスを企業が投入 するスピードは、北米で6年、ヨーロッパで7年、アジア太平洋地域 で10年以上、世界では7年速まりました。 結果はセクターによっ て異なり、導入が最も増加しているのは、ヘルスケアと製薬、金融 サービス、プロフェッショナル・サービスです。
組織は、意思決定、リスク・マネジメント、データ分析、知識マネ ジメントなどのスキルを強化するために、引き続きAIに投資し ていきます。しかし、AIが人間に近い知能に取って代わること ができるかどうか、可能な場合、それはいつのことかという疑問 は、多くの議論と憶測を呼んでいます。
2021年11月、Googleの元CEOであるEric Schmidt氏、元米 国国務長官のHenry Kissinger氏、MITのコンピューター科学 者であるDaniel Huttenlocher氏は、私たちが今後行うべきこ とは、AIに従うことでも、抵抗することでもなく、「人間の尊厳や 道徳的行為など、人間の価値によるAIの具体化」に注力するよ う提言しています。
これらの懸案事項については、私たちがデジタルの未来へ進む と同時に、よりしっかりと焦点を絞っていかなければなりませ ん。AIの有意義な適用を支えるために、組織はITやデータの専 門家の獲得とトレーニングに投資し、データ・ガバナンス戦略を 策定して、透明性を確保しなければなりません。
データ収集は、破壊的テクノロジーの拡張と継続的なデジタ ル・トランスフォーメーションを促進する原料となります。データ の機密性、整合性、可用性の保護は、このような将来的な視点 を備えたビジネス・イニシアチブへの対応に不可欠な要素とな るはずです。
このレポートでは、データ倫理について詳しく取り上げます。ま た、サイバーセキュリティと現代の職場におけるその意味につ いても説明します。デジタルの進歩を基盤に、信頼できる未来へ 移行しようとするならば、どちらの領域にも高い意識を持って熱 心に取り組む必要があります。
ディスラプションに向けたイノベーショ ン:Ade McCormack氏とのインタビュー
Ade McCormack氏は、世界中の組織がデジタル時代に向け て変革を遂げることができるようサポートしています。
さまざまなデジタルの課題について、ディスラプション対応アド バイザーのAde McCormack氏と話をしました。ここでは、デジ タル・ディスラプションに関する同氏の意見を共有します。
「来年大きな前進が見られるのは、拡張現実(AR)と仮想現実 (VR)だと思います」とMcCormack氏は言います。配管工事 など、現在は物理的な場所に縛られている従来型産業です ら、ARによるディスラプションが進む可能性があります。「現在 では突然、ARマップと指示によって、消費者がシンクの下を確 認できるようになりました。例えば、アルゼンチンに1社だけ巨 大な配管工事会社があり、そこがすべての配管工事ニーズを請 け負うということもあり得るのです。物理的な配管工に対する ニーズの完全なディスラプションが発生しています」
しかし、ビジネス・モデルが目的に適合しなくなったら、テクノロ ジーだけでは不十分です。「リーダーは、単に古いビジネス・モ デルに最新テクノロジーを振り掛けることを考えてはいけませ ん。それではうまくいかないのです」とMcCormack氏は言いま す。「ますます破壊的になりつつある現代に成功を収めるに は、産業時代におけるプロセス主導型の工場モデルを超える必 要があります。現時点であなたが優位に立っているとしても、せ いぜい一時的なものです。次のイノベーションのことを考えた ほうが良いでしょう」
現在、McCormack氏は、将来に十分な焦点が当てられてい ないと感じています。「雇用者は2019年の再現のほうに力を入 れています。パンデミック前の働き方に戻れば安心だからでしょ う。雇用者は、確実性を手に入れることができるならば、それを つかもうとするものです。しかし、それではうまくいきません。パ ンデミック後のディスラプションは、まだ始まったばかりです。」
気候危機
2021年の国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)は、緊急対策の必要性を訴えま した。しかし、気候変動への対処の進行状況はわかりにくいものです。今後、世界が地球温暖化 の最も有害な影響を阻止するには、持続性の実務慣行をすべてのプロジェクトとプロセスに組 み込む必要があります。
パンデミックにより、人間が環境に及ぼす影響度や、環境劣化 が人間の健康と世界経済に与える影響についての認識が高ま りました。米国とEUは2050年まで、中国は2060年まで、イン ドは2070年までのカーボン・ニュートラル実現を約束していま す。過去10年間に行われた投資のおかげで、現在、ほとんどの 再生可能エネルギーは化石燃料よりも安価になっています。ま た、大気から二酸化炭素を除去するプロジェクトが開始されて います。たとえば、アフリカのAFR100メガプロジェクト は、2030年までに10か国で2億4,700万エーカーの森林を再 生させることを目指しています。
このようなアクションをとっていても、状況は悪化しています。
世界気象機関によると、「大規模ロックダウン」による一時的な 排出量低下の後は、「環境が改善されている兆候はない」との ことです。同機関は、2020年および2021年前半に、主要な温 室効果ガスの濃度が上昇していることを確認しました。
流れの転換を支えるために、企業はより多くの責任を負わなけ ればなりません。世界最大級の企業の5分の1が、ネットゼロの目 標を設定しています。より多くの企業が同調すべきであり、政府、 学界、その他の組織と力を合わせる必要があります。特にエネル ギー生産や輸送など、排出量が最も多い産業では、持続性プロ ジェクトへの投資を増やすことが不可欠です。森林再生などの手 段によって、毎年数十億トンの二酸化炭素を大気から除去する必 要があります。このプロセスはまだ始まったばかりです。
このような取り組みは複雑で、実施が困難なものです。PMIの 調査によると、社会的影響の改善には大きな障壁があると報 告している組織は約40%にのぼり、環境の改善をもたらすプロ ジェクトはわずか33%に過ぎません。この状況の主な原因とな っているのは、財源と組織的なコミットメントの不足です。組織 的なコミットメントは、多くの場合、経営幹部が関与し、地球の 回復力の改善がビジネスの回復力の改善につながることが明 確に認識されている場合にのみ実現されます。このような考え 方を奨励し、プロジェクトと目的と結び付けることで、定着率を 高め、生産性を向上させて、実際のアクションへの道を開くこと ができます。
過去10年間で劇的に重要度が増した最高持続性責任者 (CSO)の役割は、これを達成するのに役立ちます。しかし、イ ンドのNexus Power社の共同創設者兼CEOであるNishita Baliarsingh氏は、CSOは万能薬ではないと警告しています。 努力は個人レベルで行う必要があり、また、人々の考え方を変 えるには時間がかかるからです。価値連鎖(バリューチェーン) のあらゆる機能、プロセス、決定に持続性の実務慣行を組み込 むには、企業間の協働が必要になります。
プロジェクト・マネジャーは、排出目標を重要業績評価指標に 統合し、排出管理を業務に組み込み、持続性に関わる業務にお いて全てのステークホルダーと関係する必要があります。財源 や組織的なコミットメントに加え、適切なスキルを取得すること も、変革を実現するための重要な資産となります。
重要なことですが、組織はエネルギーのフットプリント、コスト、影 響の評価も可能でなければなりません。そうでなければ、透明性 や説明責任が欠如し、進捗状況を追跡する手段がなくなります。 しかし、測定対象やその方法の判断は、まだ標準化されていませ ん。数多くの評価方法や認証プロバイダー、非財務会計のための さまざまなフレームワーク、使用するメトリックについての議論が 存在します。また、データと分析を通じて、各ビジネス・プロセス における資源の使用量や無駄のレベルを真に理解するために、 デジタル化の取り組みも強化しなければなりません。
とはいえ、何もしないよりも、利用可能なものを利用したほうが ましです。プロジェクトの専門家は持続性チームと緊密に連携 し、ベストプラクティスを特定して、進むべき道を切り開く必要 があります。PMIが支援を行っている国連のSustainable Development Goals(UNSDGs)は、青写真を提供していま す。たとえば、ゴール12は、電子廃棄物と使い捨てプラスチック をリサイクルすることにより、より持続性の高い消費と生産パタ ーンを促すものです。これは、個人レベルと企業レベルの両方で 実行できるアクションです。
持続性の高いプロダクトの作成:Nishita Baliarsingh氏とのイ ンタビュー
Nishita Baliarsingh氏は、姉妹であるNikitaとともにインド を本拠地とするスタートアップ企業のNexus Power社を創設 し、CEOを務めています。PMIのFuture 50に選出された同 氏は、農業廃棄物から生分解性の電気自動車用バッテリーを 製造する取り組みを進めています。
電気自動車(EV)は大きな関心を集めていますが、充電時間、 バッテリーの安全性、リチウムイオン・バッテリーの環境への影 響が問題となっています。Nishita Baliarsingh氏と、双子の姉 妹であるNikitaは、大胆なアイデアを思い付きました。農産物廃 棄物からパフォーマンスの高い生分解性バッテリーを作成する ことで、作物残渣の燃焼による排出の問題に対処し、農家は臨 時収入を得るというものです。
「持続性という概念が明確に理解されていません」 Baliarsingh氏は説明します。「多くの人が「地球を救う」ことだ と考えていますが、実際には資源の最適な利用を指す言葉なの です。持続性の高いプロダクトを開発しようと考えたら、原材料 から生産、販売チャネルまでのチェーン全体に目を向ける必要 があります」
持続性向上への道のりは、包装を減らすために再利用可能な バッグや詰め替え可能な瓶を持ち運ぶといったささやかな行動 により、個人レベルで始まりました。Baliarsingh氏は次のよう に述べています。「過去10年間で多くの変化が見られました が、今後の10年間で、さらに大きな変化が生まれると期待して います」同氏は、最近の動きとして、大企業が単に利益を最適化 するモデルから移行しつつあるとし、インドの有名企業の1つで あるTata Groupを例に挙げています。「Tata Groupは二酸化 炭素排出量を大幅に削減し、カーボン・ニュートラルな空間へ と変わろうとしています。今後10年間で、同グループはカーボ ン・ネガティブとなる可能性があります。ですから、効果が見えな いわけではありません」と同氏は強調します。
「持続性の観点から、テクノロジーは主要なゲーム・チェンジャ ーの1つになるでしょう。パンデミックは、テレビ会議など、以前 はバーチャルで実現できるとは考えもしなかった多くのことを 開始するきっかけとなりました」
Baliarsingh氏は、プロジェクト・マネジャーが持続性の取り組 みを推進する必要性は高いと言います。「どのような場面でも、 プロジェクト・マネジャーは必要です。今日の私たちの活動 は、1日、10日、6か月といった期間にかかわらず、すべてプロ ジェクトと呼ばれます。プロセス全体が合理化されていること を確認するために、プロジェクト・マネジャーが必要となるので す。プロジェクト・マネジャーが持続性の取り組みにもたらすベ ネフィットは、作業を遂行するための最適な方法を開発するこ とです」
人口動態の変化
今後10年間の雇用傾向を予測する、PMIの2021年の人材ギャップ・レポート(Talent Gap report)では、世界経済には2030年までに2,500万人の新たなプロジェクト専門家が必要に なると予測されています。出生率が低下し、高齢化により労働力から外れる人の割合が増加する ことから、組織は労働者不足を緩和し、人材ギャップを埋めるための新しい方法を見つける必要 があります。
企業は機会を速やかに捉え、特にテクノロジーを通じて、高齢 化する人々のニーズを満たしてきました。たとえば、IBM社は IoTとコグニティブ・コンピューティングを活用して、日々の健康 と活動を見守るスマート・ホーム環境を開発しまし た。MyndVR社は、高齢者の社会的孤立に対処するための没 入型ソリューションを提供しており、オーストリアを拠点とする 交通テクノロジーグループのSWARCO社は、変化する移動パ ターンに適応するスマート信号アプリを提供しています。
多くの先進国では、実効引退年齢の上昇が見られます。このこ とは、高齢の従業員、採用、心身の健康、パフォーマンス・マネジ メントに対応するためのワークスペースの再設計に影響を及ぼ します。
しかし、労働する年数を増やしても、労働年齢人口の全体的な 減少を相殺することはできません。プロジェクト型業界が増加 するにつれて、スキルの高いプロジェクト・マネジャーやチェン ジメーカーの必要性は高まる一方です。この人材ギャップ は、COVIDに関連する旅行制限と、パンデミックの間に始まっ た離職者急増の波であるGreat Resignation(大退職時代) によって悪化しています。
人々が仕事と生活のバランスについて再考するようになると、 一部の古い世代が労働力として残っているにもかかわらず、組 織は若い従業員を引き付けようとします。プロジェクト・マネジ ャーは、必要なリーダーシップ・スキルを開発し、人事マネジャ ーと緊密に連携して、年齢の異なる従業員をサポートするため の公平で包括的なポリシーを実施する必要があります。
次世代の労働力を育てる:端山毅氏(PMP、Ph.D.)との インタビュー
端山毅氏はNTTデータ株式会社のテクノロジー・ストラテジス トであり、PMI日本支部の副会長を務めています。
日本は世界で最も高齢化の進んだ国であり、それに伴う課題 に対処する態勢はかなり整っているものの、多くの問題が残っ ています。私たちは、東京にあるNTTデータ株式会社のテクノロ ジー・ストラテジストである端山毅氏から、この重要なトピック に関する意見を伺いました。
多くの高齢者は定年後も働いていますが、高度な専門性を必要 とする業界は次世代の労働者を求めており、人材不足に直面し ています。端山氏は、スキルの高い労働者の不足を緩和するた めに、AIとロボットが使用されようとしていると説明します。「 特に公共インフラストラクチャーのメンテナンスの分野で は、IoT、AI、ドローンなどの技術が、欠陥の早期発見と修理コ スト削減のために活用されています」
「日本の労働市場は、グローバル化とIT開発により、高度なス キルと発想を必要とする職業と、低賃金の職業に二極化した」 と端山氏は述べています。「若者はもはや、日本の伝統的な終 身雇用制度や、企業が提供する再訓練プログラムに頼ることが できません。その結果、若者は自分の能力を自分で向上させな ければならなくなったのです。PMIのような専門団体や産業組 織は、彼らの成長を支援する役割を果たしています」
若いプロジェクト・マネジャーの成長を支援するためには、実践 的スキルを高める教育が必要である、と端山氏は考えていま す。「日本では、プロジェクトマネジメントは専門的職業ではな く、任務遂行に求められる一要素であることが多いため、プロ ジェクト・マネジャーは事業領域に関する高度な知識と十分な ソフト・スキルを持っていることが前提になります。教育テクノロ ジーは、変化に適応するための効率的かつ自律的な学習のた めに、若者と社会の両方にとって重要なものです」と端山氏は 述べています。
経済的変化
パンデミックによるストレスが、サプライ・チェーンの混乱とグローバル化の再考につながってい ます。課題は複雑です。国内のサプライ・チェーン立て直しは長期的な取り組みであり、恒久的な 復元は確実ではありません。 ただし、グローバルなサプライ・チェーンのリスクを軽減し、国境を 越えた協働を促進するために適用できる戦略があります。
COVID-19パンデミックにより、積年のサプライ・チェーン脆弱 性、特に単一のベンダーやサプライヤーへの過度な依存が露呈 しました。こうした脆弱性に需要の急増、人手 不足、異常気象 などの要因が相まって、港湾能力や出荷能力が大幅に縮小さ れ、輸送コストが記録的に上昇し、物品や部品の深刻な不足が 発生し、消費者物価が上がり、インフレーションが深刻化しまし た。そのため、一部の国では中核的な製造業を再開し、サプラ イ・チェーンの調達先の多角化を検討するようになっています。
既存のスキルと人員不足を考慮すると、主な問題には以下があ ります。従来の製造能力を放棄した国々では、どこから人材を 得るのでしょうか?PMIの調査によると、世界的な製造および建 設セクターでは、プロジェクトマネジメント指向の雇用 (PMOE)で現在の職務と今後必要となる職務に最大のギャッ プがあります。このセクターでは、PMOEの増加率が13.2%と 見込まれており、全体的雇用の増加率を上回っています。トレー ニングには時間がかかり投資が必要です。国内のサプライ・チェ ーン再建も同様です。例えば、半導体製造工場の建設には、複 数年と数十億ドルを要します。電気自動車(EV)用バッテリーの 増産にはさらに長時間がかかり、レアアースの採掘、加工、精製 を自前で達成しなければなりません。
グローバル化は過去の深刻な後退から回復し、歴史的に高い レベルにとどまっています。米国の企業景況感の指標となる最 新のDHL国際連結性指数2021によると、企業は国際的プレゼ ンスの拡張を切望していることが明らかになりました。さらに、 デジタルでつながった世界は、パンデミックから多くの企業を救 った一方で、デジタルデバイド(情報格差)が広がるリスクも あり、デジタル接続が普及していない貧しい国々が後れを取る 可能性があります。このレポートでは、より強い繋がりによって 世界的な回復が加速化されると結論付けています。
グローバルな枠組み内では、地域的なサプライ・チェーン戦略 も、世界的事象に対する回復力を改善し、世界の経済的変化に うまく乗ることができます。近頃、東南アジア諸国連合 (ASEAN)加盟国とオーストラリアと中国などの地域パートナ ー6か国は、史上最大の貿易協定と呼ばれる地域的な包括的 経済連携協定(RCEP)に署名しました。
プロジェクト・マネジャーは、リモートでの協働や知識共有を通 じて、国際プロジェクトを推進する方法を見つけることもできま す。実際に、環境、社会、ガバナンスの面で世界最大の課題に対 する解決策を探るには、単独では立ち行きません。グローバル 化が再調整される中、従来よりも優しく穏やかで、社会的意識 を中心とする解決策が登場する見込みもあります。
現地産業の再建:PMP、Marcos Lopez Rego博士との インタビュー
Marcos Lopez Rego氏は、リオデジャネイロ教皇庁カトリッ ク大学(PUC-Rio)およびジェトゥリオ・バルガス財団(FGV)の IAGビジネススクール教授で、ブラジル海軍研究所の上級研究 員です。
「パンデミックにより、国境を越えた人の流れは長期的に減少 するでしょうか?答えはもちろんイエスです」と、Rego氏は断言 します。「今後、より厳しくなるでしょう。」戦略的に は、COVID-19パンデミックにより、一部の国々からの供給や消 費者物資に対する世界的な依存度が明らかになりました。
この依存関係に対処するには、政治的にも戦略的にも意思決 定が必要です。「今後、プロジェクトはますます重要になると予 測されるため、プロジェクトマネジメントは必要不可欠な能力 になるでしょう」Rego氏はさらに次のように述べています。
「主な問題は、これを実行に移す資源がないことです。一部の 国では現地で能力が調達できないため、教育やトレーニングに 関する公共政策から開始する必要があります。これには多大な 時間とコストがかかり、不確実性も高くなります。」Rego氏 は、3Dプリントやロボット工学などの技術が有望なツールと考 えていますが、サービス指向の経済が重要な部品の国内生産に 切り替わるまでには長期間かかります。
さらにRego氏は、今後知識指向とサービス指向の産業の脱グ ローバル化が進むとみています。しかし、彼は次のように付け加 えています。「現地のプロジェクトがグローバルの動向に適応し ているかを確認することが重要です。これには、プロジェクトマ ネジメントとコミュニケーション・スキルが基礎となります。」
労働力不足
世界各地の企業では、従業員の流出と組織の知識喪失が発生しています。そのため、これまでに 経験したことがないほど、または備えられないほどに職場を揺るがしています。 組織がどのよう に反応するかにより、これが長期的な傾向なのか、またはリセットなのかが決まります。
昨年中、従業員が多数離職したため、多くの企業がその影響に 直面しました。米国テキサス州にあるテキサスA&M大学の Anthony Klotz教授が「大量離職時代」と呼ぶ動向が始まりま した。
2022年1月、米国労働省労働統計局は、11月に450万人のア メリカ人が離職したことを発表しました。この数は、2000年 に離職データの追跡を開始して以来、最高レベルとなります。離 職率は、2021年9月に過去最高を記録してから再び増加に転 じ、3%に到達しました。
38か国が加盟する経済協力開発機構(OECD)の所見による と、回復の遅れが予測されるため、パンデミック前と比べて、労 働人口は2,000万人減少します。ベルテルスマン財団が実施し た最近の調査によると、ヨーロッパ最大の経済国であるドイツ では、企業の意思決定者の66%が現在熟練工不足に直面して おり、その割合は2020年よりも増加しています。オーストラリ アでは、従業員の40%が今後半年以内に新しい仕事を探す予 定と答えています。またシンガポールでは、Microsoftの2021 Workplace Work Trend Indexの一環として、調査対象となっ た従業員の49%が今年中に現在の勤務先を離職することを考 えていると答えました。
離職率の増加が始まった時期は、COVID-19パンデミックの始 まりにまでさかのぼることができます。その際、世界全体で数百 万人もの従業員が一時解雇や自宅待機となりました。国によっ ては、健康上の理由で自宅療養や家族の介護ができるよう、失 業給付金や政府救済金が支給されました。しかし、予防接種率 が向上し、企業の勤務環境が正常化しつつあり、新入社員にボ ーナスやインセンティブを支給する企業が増えている現在で も、数百万ものポジションが空いたままです。
歴史的な人手不足は、女性に対する不当な処遇により、さらに 複雑化しています。介護者の役割や就業機会での不公平が悪 化しているためです。パンデミックが始まった時点では、医療業 界など、女性が多い職業が高リスクでした。中南米では、調査 より、就業の男女機会均等がパンデミックの影響で停滞し、人 員削減により1,200万人もの女性が退職に追い込まれたこと が明らかになりました。
企業が積極的に求人しているにもかかわらず、多くの女性は仕 事の再開や新たな仕事の開始がなかなかできません。全国女 性司法支援センター(NWLC)の報告によると、2021年10月 の女性労働力はわずか57.3%で、1988年以来最低を記録しま した。黒人女性とラテン系女性の失業率は、女性全体の失業率 を上回っています。
就業体験と柔軟性の向上を求める抑圧された希望は、パンデ ミックによる制限が緩和されるのにしたがって、解放されていま す。この追加の要因は、既存の従業員をいかに引き止め、新しい 人材をひきつけるかの課題を企業のリーダーシップに突き付け ています。その答えを得るには、多くの従業員がワークライフバ ランスに対して抱いている幻滅に積極的に対処し、従業員が仕 事と勤務先に何を求めているか、リーダーは積極的に把握する 必要があります。
2030年までに2,500万人のプロジェクト専門職が新たに必要 になるとPMIの2021年Talent Gap reportで指摘されるよう に、現在の人手不足により、プロジェクトを予定通り、予算内で 遂行し、顧客の期待に応えることがますます困難になると思わ れます。少なくとも短期的には、チーム・メンバーやステークホ ルダーが新たな機会を求めて離脱するため、多くの組織が事態 の急変とスケジュールの遅延を経験する可能性があります。緊 密な監視・コントロールがなければ、品質が低下して、残ったチ ーム・メンバーの負担が増加することになります。
現在までに、世界各地や各業界に大量離職時代による大打撃は ありませんが、前途には人手不足と従業員の不満という脅威が 待ち構えています。組織は雇用者/被雇用者の関係をリセットし て、両者にメリットがある定着文化を構築する必要があります。 これにより、労働者が重視する社会的インパクトイニシアチブに 沿って、従業員の貢献に対してより大きな表彰と報奨を与えま す。この就業状況の変化は、今後数十年続くと思われます。
価値を主張できるよう女性を支援:Susan Coleman(J.D.、MPA)氏とのインタビュー
Susan Coleman氏は、米国を拠点とするコンサルタントで、ト レーニング分野で30年以上の経験を有し、交渉と協働戦略で 共通点を見出せるよう、世界各地の数万人もの人々を支援し てきました。現在、交渉を通じた女性の地位向上を中心に取り 組んでいます。
Coleman氏によると、COVID-19パンデミックにより、数百万 人もの女性が失業を余儀なくされており、世界的に女性の地位 の現実が突き付けられました。「重要な地位に就かないと、また 次世代を支援していかないと、人々は現状に甘んじるしかあり ません。真の意味で男女同権を実現しない限り、後戻りが多く 発生すると思われます。女性が専門職に就くとともに、子供を持 つことも希望する場合、保育が重要な要素となります。良い保 育施設を利用できなければ、女性は離職することになります」 と、Coleman氏は指摘します。
「COVIDの発生以来、女性を取り巻く環境はさらに厳しくなっ ていますが、後退につながるとは思いません。女性の就労傾向 は、長い期間、組織環境に最大の変化を促してきたものの1つで す。そして女性たちは現在も状況を変えています」
テレワークは柔軟な働き方を実現しましたが、Coleman氏は 次のように述べています。「世界では、この状況に協力して取り 組むか、または二極化を選択するかについて、議論が盛り上が っています。交渉時に必要となる基本的な選択の1つに、協力的 に取り組むか、競争を選ぶかがあります。協力はwin-winをもた らします。女性の場合、必要なスキル・セットや交渉力の高め方 について、意識向上が必要です。交渉とは、価値を主張し、価値 を受け取り、求めるものを声に出すことです。」
市民運動と平等運動
COVID-19パンデミックに伴う規制が継続しているにもかかわらず、2021年には社会的抗議活 動が活発に続いています。パンデミックによる経済的影響と不平等が高まり、社会不安につなが っているため、こうした抗議活動は今後も続くと思われます。今後ますます、市民運動と平等運動 に応えて、役員室、事務所、プロジェクト現場が実際の変化と協働が生まれる環境となっている ことを目撃していくでしょう。
組織では多様性、公平性、包括性(DE&I)に対する取り組みが 活発化する一方、包括的な変化が求められるため、取り組みの 効果を高めることが課題となっています。過去5年間にわたっ て、最高多様性責任者(CDO)の任用が増加しており、2020 年に急増しましたが、このこともこの分野での成果達成に確実 に貢献します。労働力 不足の影響を緩和する必要性は、企業 が包括的な企業文化を構築する強い動機づけとなります。これ と同時に、パンデミックは有色人種コミュニティにより深刻な影 響を与えており、世界的に新興市場や発展途上国に最もひどい 被害を与えています。
最近の調査の多くでは、DE&Iが事業成功に重要なことが示さ れていますが、女性と民族的マイノリティグループは、今も企業 レベルで給与が低く、少数派のままです。最新のMcKinsey studyには、執行部の多様性に関するビジネス・ケースが示さ れています。これによると、性別多様性で上位4分の1の企業 は、最下位の4分の1に属する企業に比べて、平均以上の収益性 を上げる可能性が25%高くなっています。期待を上回る業績を あげる可能性は、民族的多様性が高いほど向上します。
「公平性(E)」と「包括性(I)」なしに、「多様性(D)」は実現しま せん。多様性は、多くの側面で達成する必要があります。また、 真の意味での公平性と包括性とは、誰にも貢献、成長、成功す る機会を同等に与える状況を作ることです。ある英国で実施さ れた最近の調査によると、受け入れられていると感じているの は従業員全体で25%に対して、身体障がいのある従業員 では16%に
すぎませんでした。Fortune 500企業の多くでは、LGBTQの 従業員に包括性ポリシーが導入されていますが、多くの国では 法的な保護が提供されていません。Catalystでは、「LGBTQ の従業員は、職場で自分らしさを全面的に表現することを恐れ ている」と報告しています。
複数の課題があるにもかかわらず、テレワークは、職場で偏見 を受けている人々に広く平等をもたらしました。有色人種の女 性の多くがオフィスに戻ることに消極的と、最近The New York Timesに記事が掲載されました。テレワークにより、白人が多数 を占める職場で働くストレスが緩和され、マイクロアグレッショ ン(無意識な差別)や差別に曝される機会も減少しました。米 国、オーストラリア、フランス、ドイツ、日本、英国の10,000人以 上の知識労働者を対象とした2021年Future Forum調査によ ると、黒人男性は在宅勤務で従業員体験が向上したと報告して います。
バリューチェーン全体で各機能、プロセス、意思決定にDE&Iを 組み込むのは、特に困難です。PMIでは、重要な実務慣行に は、ポリシーやゴール設定に従業員を関与させること、トレーニ ングにDE&Iを組み込むこと、従業員資源群を確立することなど が含まれると見込んでいます。先進的な組織では、堅牢なAIツ ールを採用して、多様な人材を採用し、多様性を推進するグル ープと提携して、若年層に訴求しています。データに基づくアプ ローチを進捗の測定や報告に適用することが重要成功要因と なります。
全体的に、異なる考え方を受け入れる文化は創造的な考え方 と適応能力を促し、ビジネス成果の向上につながります。
これを実現することがCDOの職務です。DE&Iは、法律用語や コンプライアンス用語を厳密に使って、定型的な声明を出すこ とにより対処できる課題ではありません。これには真摯な姿勢 と透明性が求められます。各従業員の警戒、不快感、被害を緩 和し、悲しみ、怒り、フラストレーション、恐怖などの感情をあり のままに共有できるようにする必要があります。なぜなら、その 中心には本当の意味でのビジネス関係があり、これは純粋な 人間関係に始まり、終わるものだからです。
DE&Iイニシアチブの推進:Innocentia Mahlangu氏(PMP主席 エンジニア、MSc)とのインタビュー
Innocentia Mahlangu氏は、DE&Iイニシアチブの推進に積 極的に取り組んできました。彼女は、南アフリカのHatch社プロ ジェクト納入グループのシニアエンジニア兼プロジェクト・マ ネジャーです。PMI Future 50受賞者として、エンジニアリン グ分野の非営利バーチャル女性メンターネットワークである SHEngineersを設立しました。
キャリアの初めには、Mahlangu氏が部署唯一の女性であるこ とも多くありました。「これまでエンジニアリング、建設、プロジ ェクトマネジメント、技術など、男性が大多数を占める業界で働 いてきました」と、彼女は説明します。
南アフリカ技術評議会によると、最近エンジニアリング分野で 採用候補となったうち、女性が半数を少し超えていましたが、登 録専門職の女性は12%にすぎません。「業界に女性を誘致しよ うとしていますが、定着が大きな課題です。いわゆる「水漏れパ イプ」で、キャリア開発の各段階で女性が離脱していきます」 と、Mahlangu氏は述べています。「つまり、採用候補から登録 専門職となる道程のどこかに、女性が通過できない部分がある ということで、この問題がいかに大きいかが示されています。」
Mahlangu氏によると、問題には以下などがあります。「実際に DE&Iに取り組んでいない組織には、全社的な戦略に不整合が あります。一部の組織では、通常業務のアドオンとしてDE&Iを 捉えています。そのような組織では、DE&Iが中核分野として採 択されていないため、組織のトップが率先して推進することは ありません。ときには、長期戦略目標や測定可能な成果も定義 されていないこともあります。」
しかしMahlangu氏は、多様性とは女性の就業割合を増やすこ とに留まらないと強調します。「多様性とは性別のみという誤解 があります。多様性には広いカテゴリーが内包されると、リーダ ーが認識していないことも多くあります。この業界や職場の多 様性と包括性が高まり、各人の個性、すなわち文化、年齢、言 語、能力などさまざまに異なる資質が大切にされるよう願って います。あらゆる形態の多様性がすべて受け入れられると、考え 方の多様性が実現し、ビジネスとプロジェクトで実際に従来以 上の高い成果を達成できるようになります。」
技術分野での女性のメンタリング:Julissa Mateo Abad氏との インタビュー
Julissa Mateo氏は、ドミニカ共和国の技術分野の女性コミ ュニティ(@MujeresTICsRD)の設立者です。Mateo氏は、 技術分野での女性の役割を高めたことにより、PMI Future 50を受賞しました。
情報通信技術(ICT)エンジニアとして技術イベントに出席する と、Mateo氏は唯一の女性参加者であることもありました。「 ある日、正しいと思われない情報を耳にしたので、挙手して、講 演者にもう一度説明するよう求めました。後で講演者の一人が 連絡してきて、『あなたもぜひ講演者となって、他の女性と関心 を共有しませんか。このイベントに関心があるようなので、あな たが講演すればより多くの女性が関心を持つようになるでしょ う』と言いました。」
これが@MujeresTICsRDの第一歩となりました。これは、技術 分野の女性がお互いにメンターとなり、ネットワークを作って、 キャリア開発を支援し合うコミュニティです。この組織はドミニ カ共和国で発足しましたが、現在ではボリビアやグアテマラに も広がっています。「世界に必要と思われるものをより多く表現 していこうと努めています」と、Mateo氏は説明します。
Mateo氏と同僚は各組織と連携して、多様性、公平性、包括性 (DE&I)の意味や価値を理解できるよう図っています。「企業は、 女性3人、男性4人、黒人1人のように、従業員の数にのみ着目す る傾向があります」と、Mateo氏はその障害を説明します。「実際 に、多様性と公平性を達成するには、人々の行動様式や活動が いかに文化の一部となっているかを理解することが必要です。す べてが文化の一部です。
これまでに自分と同じ立場の人々を見たことがなかったため、 時として、女性同士でも他の女性が仕事をしていると認識しな いことがあります。そのため、メンタリングを提供しようと考えま した。私の場合マイナス20からのスタートでしたから、ゼロから のスタートだとしても、希望の場所まで確実に成長することがで きます。自分のビジョンを理解してくれる人がそばに必要です。」
Mateo氏によると、包括性はカスタマー・エクスペリエンスの向 上にもつながります。「未来の技術を作る立場として、テクノロジ ー企業がDE&Iの価値を理解できるよう図っています。ユーザー を考慮していないテクノロジーは、実世界に適合しないテクノロ ジーとなってしまいます。こうした事態は避けなければなりませ ん。」
まとめ
今年は、前進に向けてリセットし、2022年のグローバル・メガ トレンドが提示する課題に意を決して対処する年です。これま での2年間は、問題にうまく対処し、解決策を設計、実施できな かったことに対する報いのようなものでした。しかし、より環境 にやさしく、公平性が高く、ベネフィットを広く分配できるよう、 今後の方向性を再考する機会がありました。
ゴールの設定やゴールに到達するまでに採用するアプロー チ、成果が世界各地の人々にどのように影響するのかをより良 く意識する必要があります。
プロジェクト専門職の場合、能力ツールキット全体を利用する ことになります。チェンジメーカーは、高い技術知識、技術プロ ジェクトのマネジメントスキル、コミュニケーション力や共感力 などのパワースキルなど、新しい働き方を採用しています。ま た、マクロ環境内のプロジェクトコンテキストと組織の戦略目 標を理解する必要があります。さらに、自分自身と周囲の人々 の発想と革新的な考え方を最大限まで生かして、過酷な環境に 適応し、優れた解決策を見つける必要があります。そうすること により、現実的なアイデアを創成して、世界で最もひっ迫した問 題を解決することができます。
これらの傾向の詳細については、グローバル・メガトレンド 2022を参照して、専門家やソート・リーダーへのインタビュー・ ビデオをご覧ください。
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